茶筒の製造工程
山桜の樹皮を薄く削りコテで木地に張りつけてつくられる樺細工は、世界でも類を見ない樹皮工芸と言われ、全国でも角館だけにその技術が引き継がれています。
樹皮にはあめ皮、ちらし皮、ひび皮など12種類程あり、天然の素材であるため仕上げられた作品に同一のものはありません。
滑らかで強靱、しかも湿気を避け乾燥を防ぐという特質から、古くは薬籠や煙草入れ、現在では茶筒やなつめに多く使われています。
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道具
木槌、胴突きノコギリ、カンナ、罫引、綴目、トクサ板など、様々な道具が使われています。
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1. 樺削り
材料となる山桜の樹皮(樺)は、最高の皮とされる“ひび皮”、滑らかな“あめ皮”、ちりめん状に見える“ちりめん皮”など多種多様です。その樺を、つくるモノの大きさに合わせて裁断。 水を湿らせて熱したコテをあてて蒸し、しごいて樺を柔らかくします。表面を幅広の包丁で削ることで、 色を均等にするとともに、樺に光沢を出します。
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2. にかわ塗り
細工がしやすいように、薄く削った樺ににかわを塗って乾かしておきます。
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3. 仕込み「仕込みの段取り」
経木ににかわを塗って乾燥させたのち 木型に巻きつけ、200度位に温めたコテを押しつけ円筒状にし、 3枚重ねて原型をつくります。
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4. 仕込み「内樺入れ」
3でつくった経木の原型の内側ににかわを塗り、樺を貼りつけます。
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5. 仕込み「口樺作り」
茶筒の蓋を取ったときに見える胴体の口部分に使う口樺。 にかわ塗りをした樺をちょうど良い大きさに裁断し、原型より一回り小さな経木に巻きつけます。
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6. 仕込み「口樺着せ」
5を4の内側に貼りつけます。
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7. 貼り付け「蓋と芯の切り離し」
蓋と胴体に分けるため、小刀で切り離します。
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8. 貼り付け「胴貼り」
胴体部分ににかわを塗り、コテを使って樺を巻きつけます。 コテを水につけて樺が焼けない温度を判断しながら、しわが残らないように 何度も押し付けて経木になじませます。にかわとコテの熱加減に熟練の技が必要とされます。
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9. 貼り付け「節埋め」
樺の節が目立つ部分に、コテで樺を埋めこみます。
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10. 貼り付け「天盛り」
茶筒の天と底を加工します。小刀で削ってカンナをかけ、縁をならします。 胴体と同様にかわとコテを使って樺を貼りつけます。 天が終わったら、底の部分も同様に加工します。
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11. 仕上げ
樺の表面に光沢を出すための磨きの工程。まずサンドペーパーが6段階。 180番から800番まで徐々に細かいものにしていきます。 次にとの粉で磨き、最後に鬢つけ油で仕上げます。