calender

茶筒の形状活かし / 樺細工カレンダー / 秋田大生と冨岡商店

秋田大の学生5人と仙北市の樺(かば)細工製造販売・冨岡商店(冨岡浩樹社長)は、協力して開発した樺細工のカレンダーを発表した。茶筒をアレンジした回転式のカレンダーで、写真フレームがセットになっている。学生のデザインを同社が形にした。市は4月からふるさと納税の返礼品に加える予定。

カレンダーはオーソドックスな無地皮の茶筒のふたを3分割してリング状にし、外側に月日の数字を彫り込んだ。リングを回して表示を調整する。黒檀(こくたん)の写真フレームには角館の桜をイメージした花の柄があしらわれ、木口には無地皮が施されている。

正しく手入れすれば100年以上使えるのが樺細工。江戸時代から続く角館の樺細工の伝統や家族で代々受け継いで使うことを意識し、「万年カレンダー 遙か」と名付けた。月日を刻むだけでなく、写真を飾ることで家族の歴史も刻まれることをコンセプトとした。

デザインしたのは教育文化学部地域文化学科2年の石崎里歩さん、遠藤麻依さん、佐々木琴美さん、進藤彩さん、横山友里江さん。5人は1年時に地域学基礎の授業での取り組みとして、伝統的工芸品の地域ブランディングを選択。樺細工をテーマとして扱い、2022年8月から製品開発をスタートした。

同年11月に秋田市で開かれた第39回伝統的工芸品月間国民会議全国大会(KOUGEI EXPO in AKITA)の関連イベントでカレンダーのアイデアを発表。当時は白っぽい木の写真フレームと棒状のカレンダーだったが、その後「現代の生活様式にはシックな色がマッチする」と考えて濃い色味とし、樺細工を象徴する茶筒の形状を生かして回転式にした。

5人は単位取得して授業を終えた後も「形になるところまで続けたい」と自主的に開発に携わり、詳細なデザインについて冨岡社長との打ち合わせを重ねてきた。

仙北市役所角館庁舎で13日に開かれた発表会には5人のほか、冨岡社長や田口知明市長、学生を指導した秋田大産学連携推進機構の伊藤慎一准教授らが出席した。田口市長は「樺細工は仙北市の誇り。素晴らしい製品を開発してくれて感謝している」とあいさつ。冨岡社長は「新しい発想を楽しみながら作った」と述べた。

佐々木さんは「自分たちがデザインした製品が家庭に置かれるとうれしい。カレンダーと写真で月日の流れを感じてもらいたい」と話した。

市販の予定はなく、ふるさと納税の返礼品としてのみ扱う。冨岡社長によると、仮に価格をつけるとすれば2万7500円相当だという。
(大原進太郎)

Retour au blog